※WGP2(アメリカ)。カルロ12歳、ブレット13歳。
ミルキーウェイブルースのすぐ後ぐらいをイメージしているので、7月頃。ロサンゼルスの夏。
※アメリカの夏季休暇(6~8月)は考慮していません。真夏でもレースしてます!
※ブレットのお父様の経歴を盛大にねつ造しております。あと、エッジの学歴も。
※タイトルは「21」さまより





 リアリストの狂信




 ロサンゼルスの夏は暑い。第二回ミニ四駆世界グランプリのレーサー諸君が通うスクールは本日もエアコン設備をフル稼働させていて、併設された図書館の利用者も恩恵にあずかっていた。強烈な日差しを避け、本棚の影に隠れた閲覧デスクに居座るカルロもその一人だ。
 快適なはずの空間で、けれどカルロの眉間には深い皺が刻まれていた。彼の持つ一枚の紙が原因だ。
「さすがだな、授業のサボり方も堂に入ってる」
 頭上からの声にカルロが顔を上げる。声で相手の想はついていて、目に飛び込んでくる分厚い偏光ゴーグルに驚くこともない。
 目元を覆うというより顔の半分近くを隠してしまうそれから、はみ出た口元は弧を描いている。ゴーグル姿がトレードマークの地元代表チームのリーダーは、カルロが陣取るデスクの傍らに立ってこちらを見下ろしていた。
「そういうてめぇはどうなんだよ」
「お生憎さま。うちのメンバーは全員授業もテストも免除でな」
 本棚に囲まれた僻地とはいえ、私語厳禁の静寂にブレットの声はよく通った。顰蹙を買わないのは今が授業時間の真っ最中で、さらに間の良いことに司書が席を外しているからだ。利用者が極端に少ないこの時間帯は、喧騒を嫌い孤独を愛するカルロにとって格好の「休み時間」でもある。
 一方のブレットは、MIT卒業の肩書でもって授業から解放されていた。彼を筆頭に、アストロレンジャーズのメンバーは秀才ぞろい。No.2の赤毛男など軽薄な外見と言動に反して、カルフォルニア工科大学に籍を置いているという。ここロサンゼルスから北東に隣接するパサデナの大学は、この国で極めて高い評価を受ける理工系大学としてブレットの母校・MITことマサチューセッツ工科大と双璧をなしていた。さしずめ西のカルフォルニア、東のマサチューセッツと言ったところだ。さすがに首席卒業は難しいとのことだが、それでも学業面での優秀さは他のグランプリレーサーとはケタが違った。そんなエッジを抑えてトップに君臨するブレットの頭脳は、言うまでもない。
「アストロノーツさんは優秀なこった」
 カルロの皮肉をそよ風程度に聞き流して、ブレットは斜向かいに腰を下ろす。相席の許可を得ないのは彼が無駄を嫌うからで、彼の意外な強引さを知っているカルロも止めるような愚行は犯さなかった。
 肩に下げていた荷物を下ろすと、ブレットは重たげなゴーグルを外す。顔のほとんどを覆うハイテク機器の下から現れたのは、怜悧なペールブルーの眼差しだ。つりあがった眦を強調する長い睫が、まばたきに合わせて上下に揺れる。
 賢(さか)しさを隠さない面立ちを、こうして直に拝める人間は限られている。ブレットがゴーグルを外すときは、彼がアストロレンジャーズのリーダーであることを止めているときであって、チームリーダーの任に誇りがあるらしい彼は大会中にそれを放棄することは滅多とない。そのブレットが、カルロの前ではしばしばゴーグルを外す。その傾向は夏の初めごろから顕著になり、去年の秋、二人きりの天体観測から派生した事態はカルロを戸惑わせた。
 グランプリレーサーではないただひとりの宇宙少年の姿に、カルロもまた自身がグランプリレーサーであることを忘れそうになる。
「追試か、あの噂は本当だったんだな」
 薄い青灰色の目をまたたかせて、ブレットはカルロの紙を指さした。話を現実に引き戻され、カルロの眉間に再び皺がよみがえる。
 アメリカでの第二回大会より、スクールでの成績が芳しくない選手には追試が科され、不合格の烙印を押された者は直後のレースの出場権を失う。今大会当初から選手たちの間でまことしやかにささやかれていた噂は、おおよその部分でカルロの書類に書かれている内容と一致していた。
「どこのどいつだ、下らねえこと考えやがって」
「日本大会の反省だろ」
 一年前、日本で行われた第一回世界グランプリは、(開催国が急きょ変更されたという不測の事態を考慮したとしても)その運営についてお世辞にもパーフェクトとは言い難かった。とりわけ問題とされたのは、(アストロレンジャーズのような特別なチームを除いて)初等教育期間にあたるレーサーたちの学業管理だ。
「『どこかの』代表チームが、メンバーそろって授業に出なければテストも一切無視したらしい。『ミニ四駆を通じた青少年の健全な成長』を標榜するFIMAとしては見過ごせない、というところさ」
 身に覚えがありすぎるカルロはもちろん、ブレットとてどのチームのことを指すのか百も承知している。自業自得だと言わんばかりの流し目に、カルロは舌打ちをした。
「望みはあるじゃないか。次のレースはトップタイム制だろう? お前ひとりでも追試に合格していればレースは成立するし、お前が合格点を出せるなら、残りのメンバーはカンニングでなんとかなるぜ」
「ボウヤから不正行為を勧められるとはな」
「俺は合理的かつ効率的な手段を言ったにすぎない。その次のレースはアメリカ(うち)が相手で、しかも選手五人が最低条件のリレー方式。こちらとしても、ロッソストラーダ相手に不戦勝なんてつまらない。しかも、理由が『追試に受かりませんでした』なんてな。クールじゃないぜ」
 勝てるならつまらなかろうがクールでなかろうが、大歓迎するロッソストラーダとは根本的に考え方が違う。そんなチームがこのWGPには溢れていて、その甘っちょろさに胸糞が悪くなった。ミニ四レーサーシップだがなんだか知らないが、そんなものはクソの役にも立たない。
 去年のグランプリまで、カルロはそう思っていた。
「アンカー同士、サシの勝負をしようじゃないか」
 今でも、勝ちが第一の考え方は変えていない。一方で正面対決を待ち望むブレットの物言いが、少しばかり嬉しいのも否定できなかった。彼とコースの上で、誰にも邪魔をされずに火花を散らすことができる。考えただけで気持ちが浮わついた。だから余計に、カルロは追試の日程を知らせる紙を睨むしかない。
 FIMAが用意したハードルは、決して低くない。ブレットのアイディアを採用するにしても、まずメンバーの誰かが合格点を出せなければ意味がなかったし、その点を出せるのはカルロだけだろうというのも妥当な読みだ。自らの置かれた現実とそれを打破する方策に頭を巡らせているカルロに、助け舟を出したのはやはりブレットだった。
「教えてやろうか、勉強」
 レースはさておき、勉学に関しては一日の長どころか千日だって足りないくらいブレットの方が優れている。MIT首席からの申し出は渡りに船だが、プライドがカルロの邪魔をした。
「敵の情けなんざ受けるか」
「お前の口上にはバリエーションってものがないのか」
 いい加減聞き飽きたと、ブレットはカルロのちんけなプライドを手で払いのける。物分かりがいいように見せて、彼が一度決めたら強引に物事を運ぼうとする人間であることをカルロは嫌というほど知っていた。
「やみくもに問題を解こうとするから疲れるんだ。まずは頭の体操をしようぜ」
 案の定、教えたがりモード全開のブレットはカルロの意思などそっちのけだ。腕を伸ばして、ブレットはカルロの前に置かれた紙の束をひきよせる。スクール側から渡されたそれは追試対策用問題集で、追試の問題はこの中から選ばれることになっていた。
 二十枚ほどの紙をパラパラとめくったブレットは、ふむ、と少し考え込む様子を見せてからすぐにカルロに向き直った。
「問題です」
「いきなりか!」
「北極から南極を通って、地球をぐるりと一周するロープを張るとする。陸地や海底の凹凸は考慮しないから一周はほぼ四万キロだ。さらに、このロープから一メートル上空に同様に別のロープ一本を張ったとしよう。二本目のロープはどの場所からでも、一本目のロープより一メートル高い所を浮いている」
「ロープが空中でどうやって支えられてんのかは、考えねえんだな」
 カルロの言葉にブレットは"That's right!"と喜んだ。少なくともカルロが数の世界で求められる抽象的な思考ができることを歓迎しているらしい。ブレットはカルロの思考を手助けするように、追試の紙の裏に二重の円を描いた。言うまでもなく小さい方が地球(にそった一本目のロープ)で、外側が地表より一メートル浮いた二本目のロープだ。一本目にロープA、二本目にロープBとブレットは書きこむ。
「さて、空中に張られたロープBは、一本目のロープAよりどれくらい長くなってるだろうか」
 選択肢をやるよ、とブレットは続けた。一番6メートル、二番600メートル、三番60キロメートル。
「……三番?」
「根拠は?」
「一本目のロープAは四万キロなんだろ。それより高いところ回ってんだから、そんくらいいるだろ」
 カルロの答えにブレットの左右の口角が引き上がる。アリスをからかうチェシャ猫のような悪い笑みに、カルロは背筋がぞっとした。
「ハズレてんだな」
「皆ひっかかる、おまえだけじゃない。答えは一番6メートルだ」
 そしてブレットは模範解答を披露する。カルロを騙せたことに、日頃から小賢しげな顔が嬉々としているのは気のせいじゃないはずだ、絶対に。
「少しは頭を使えよ、イタリアのボウヤ。地球から一メートル浮かせたロープの長さっていうのは、地球より半径が一メートル大きな円の円周と同じだ」
 去年レース中、カルロはブレットをほぼ同じ言葉で罵った。この男はそれをしつこく根に持っていて、自分のフィールドでカルロを叩きのめせるのが愉快でたまらないのだろう。
「円周の求め方は直径×円周率。直径は半径の二倍。円周率はおよそ3.14だから、二本目のロープは一本目のロープより2×3.14メートルだけ長い」
 掛け算もよくわかっていないカルロだが、ざっくり2×3の計算くらいはできる。だがどこか釈然としないカルロに、ブレットは自分の描いた地球とロープの絵を指さして言った。
「お前の違和感のトリックはこの絵にある。例えば、地球の総人口60億人全員に20セントのおこずかいをやろうとして金を用意したが、直前にもう一人生まれて60億1人になった。あといくら必要だ?」
「20セントだろ」
「そう、この問題なら誰も間違えない。さっきの問題も同じだ。だがお前は間違えた。俺の描いた絵が不正確だったからだ」
 未だピンと来ないまま首を傾げるカルロに、ブレットは根気よく説明を重ねる。
「クールに考えてみろ。一周四万キロの円だぞ。そこから一メートルだけ大きい円なんて、こんな小さな紙の上なら重なって描くしかない。俺が二つの円を離して描いたのが間違いなんだ」
「てめえのペテンかよ」
「お前みたいな直感タイプは特に騙されやすい」
 見事に遊ばれたカルロは、そっぽを向く。子どもっぽい仕草をブレットに笑われてなおさらバツが悪かった。
「だがこの二つの問題で、お前はたくさんのことを学んだ。地球の一周は約四万キロだってこと、円の直径は半径の二倍で、円周の求め方は直径×円周率だってこと、円周率は3.14で地球の総人口は60億人。それから……」
 お前は二度とこの手の問題にはひっかからない、とブレットはムーン・グレイを眇めて口角を上げる。ブレットが「頭の体操」と前置きした理由がわかった。
「テキストとにらめっこよりずっと楽しいだろ?」
 教えたがりの性質を後押しするように、ブレットは人にものを教えるのが上手かった。星座しかり、数学しかり、ブレットの留まることを知らない知的好奇心は、カルロに楽しく数学を学ばせる方法にも向けられるらしい。そして今日もまた、カルロはうっかりとブレットの勢いに流される。日差しも当たらないのに、ブレットの月の瞳が輝いているのがいけなかった。
 星にせよ数学にせよ、好きなものを語るブレットの眼差しは、カルロの心に立つトゲを鎮める力を持っている。
「よし、次は足し算と掛け算の関係を教えてやる」
 しかし、ブレットの指導を受け入れかけていたカルロは、直後に続いた講義にたちまちうんざりするはめになる。
「2×2×2みたいに同じ数をいくつかかけあわせたものを累乗と言って、掛け合わせた回数を表す数を指数という。2×2×2なら2を三回かけてるから、指数は3だ。この累乗と1の関係が面白いんだ。1の二乗は1、11の二乗121、111の二乗は12321、1111の二乗は1234321になる。なら11111の二乗は何になるかわかるだろ?」
「…………は?」
 ブレットの瞳は輝いていた。それはもう、雲一つない晴れた夜空に浮かぶ満月のようにキラキラと、本棚の影にいることが不思議なくらいの光を放っている。だがマシンガンのごとく打ち出された数字と用語の弾丸は、カルロの遥か頭上を撃ち抜き、図書室の窓から太陽に向かって飛びさっていった。
「わからないなら筆算してみればいい。掛け算は足し算なんだよ」
 ぽかん。そんな擬音語がぴったりなカルロを置いて、ブレットはひとり嬉々として筆算を書き始める。その姿を、カルロは未知との遭遇を果たした宇宙飛行士の気分で眺めていた。
 こんなことが、前にもあった。一年前の秋の夜長の天体観測で、カノープスについて熱く語っていた姿が重なる。教えたがりな宇宙オタクは、教えたがりの数学オタクも兼ねていたのだと今更気づいた。
「お前、女にモテねえだろ」
 カルロは確信があった。見てくれや経歴に騙された女が、実際に口をきいてみてドン引きするタイプだ。
「……」
 カルロの指摘に、ブレットはわずかに眉をひそめて口を閉ざす。しれっと受け流すかと思った彼の、意外な反応が気にかかった。
「どうした?」
「いや、別にいい。女子の件だが、モテて宇宙に行けるなら努力もするが、今のところその必要性を感じないな。……あ、今のはジョーに言うなよ」
 結局これだ。二言目には宇宙、宇宙と、宇宙バカもたいがいにしろとカルロは殴りたくなる。いや、彼が恐れるチームの紅一点に一度全力で脳天カカト落としを食らわせてもらうと良い、少しはマシになるかもしれない。そしてこのままいつもの調子で流されてブレットの数学オタクに付き合わされるくらいなら、追試対策に真剣に取り組んだ方が有意義だと言うこともカルロは次第にわかりはじめてきた。
 掛け算と足し算の話を続けようとするブレットに、カルロは手をかざして中断を求める。天体観測はまだ付き合えたが、数遊びは勘弁してくれ。そんな心の叫びを込めて宣言した。
「わかったよ、勉強すりゃいいんだろ」
「2ページから5ページまでの問題なら、俺が言った話がわかっていれば解ける」
「……」
 何だこの切り替えの速さは。
 あっさりと筆算の手を止め、追試用問題集をつきかえしたブレットにカルロは疑惑の目を向ける。まさか、カルロがこう言いだすことまで計算してたんじゃないだろうか。この高性能のコンピューターみたいな男ならありえそうだからやっかいだ。
 どうにもブレットの手のひらの上で踊らされてるような気がして、カルロはほぞをかみながら問題集のページをめくる。
「てめえはやることねえのかよ」
「N△S△の課題はあるが、どうせ学校(ここ)のパソコンじゃ何もできない。寮に戻ったら自分のでやるさ」
 つまりブレットがここにいる理由はない。にもかかわらず、ブレットがこの場に留まるのはどう考えてもカルロの勉強に付き合うためだ。そもそも彼が寮ともパソコンルームとも方角が違う図書館に足を運んだことも謎だったが、まさかカルロを探していたとでもいうのか。
 どうしてだか、カルロの胸が少しどぎまぎした。目が泳ぎだすのを誤魔化すように、カルロは計算問題を睨みつける。戦いを挑むように、カルロはペンを手に取って問題文を読みはじめた。
「……」
 だがもとより座学は嫌いだ。一問解けばもうにうんざりして、カルロはペンを投げ出す。努力だとか、がんばるなんて向いていない。
 脇ではブレットが監視するように待機している。だがその眼差しの先にあるのは、カルロではなかった。手元をのぞきこんでみれば、ノートに作ったマス目になにやら書き込んでいる。
「クロスワード?」
「勉強しろ」
「うるせえ」
 解いているのかと思ったそれが、実は問題の製作過程だと気づいたカルロが眉をひそめる。相変わらず、カルロの疑問のサインに敏感なブレットはすぐに説明してくれた。
「解くだけじゃ張り合いがなくてな、自分で作ることにした。ウェブや掲示板にあげておけば、匿名で誰かが解いてくれる。評価ももらえて楽しいぞ」
 そういうことはパソコンでやったほうが早いような気もするが、そういえばこの男は意外にアナログ派だったなと、カルロはいつぞやの天体観測の夜を思い出した。そしてよどみなく続けられるブレットのパズルづくりを眺めていると、ふとあることに気づいてカルロはズボンのポケットを探る。取り出したくしゃくしゃの紙切れは、解きかけのクロスワードパズルだった。
「まさかと思うがよ、これ作ったのお前か」
「そのまさかだな、あそこの掲示板に先週貼り付けた覚えがある」
 マス目の数は12×12。クロスワードパズルとしては小さい方だ。だが文章のヒントはゼロで、手がかりになるのはマスに直接埋め込まれた六つのアルファベットのみ。タイトルの「STELLA」がカルロの目を惹いたシロモノだ。この問題はすでにネット上では恣意性が少なく美しい良問と評判で、いつしか「ステラ(STELLA)」の名がついた、名の由来は最初のヒントとなるアルファベットのアナグラムなのだとブレットは説明した。
「まさかお前が興味を持つとはな」
「"STELLA"はイタリア語だ」
 意外な気持ちを隠さないブレットに、言い訳のようにカルロは告げる。ステラではなく「ステッラ」とイタリア語らしさを強調して、ちょっと母国語がなつかしくなっただけだとも言い添えた。そして、当然イタリア語での意味を尋ねられてカルロがぶっきらぼうに答えた時、この世の何よりも星を愛する少年の顔が喜色に染まる。
 "STELLA"はイタリア語で「星」を意味した。
「知らなかった」
「星オタクのくせに?」
 天文学者の祖父から、星座の話と合わせてラテン語や古いギリシャ語の手ほどきを受けていたブレットだが、もともと語学は専門外だとはにかむ。イタリア語については、N△S△関連の知り合いがイタリアにいて、その人物から送られるメールやグリーディングカードに寄せられるメッセージくらいしか知らないらしかった。ブレットの誕生日にカルロが贈ったイタリア語の祝いの言葉を、彼が理解できた理由がわかってカルロは納得する。
「そうか、ステラは星か。良い名前をもらったな」
「ステラじゃねえ、ステッラだ。ラ・ステッラ」
 発音を訂正してやりながら、何でも知っているはずのブレットに、自分が教えられるものがあったことにカルロの口がつい綻ぶ。お互い小さく笑った顔を見合わせていると、ブレットが片手を差し出した。
「お前の答え、ちゃんと見せてくれ」
 やなこったとカルロは拒んだ。名に惹かれてチャレンジしてみたは良いものの、結局カルロでは最後まで解けきれていない。だいたい母国語でもない言語パズルに手を出したのがいけなかった。逃げるように紙をひっこめたカルロに、どうしてもカルロの答案が見たいブレットは奥の手を出す。ブレットの、色素の薄い両目がすっと眇められた。
「見せてくれたら、テストのヤマを張ってやるよ」
 ニィッと両の口角を引き上げて、白い歯を覗かせる笑顔はなかなかに凶悪だ。こんな知性も品性もない表情は、そこらで鼻水たらして遊んでいるガキと変わらない。N△S△自慢の天才少年が聞いてあきれた。
 こうして気まぐれに、ブレットの年相応な少年の部分はカルロの前に姿を現す。その度に妙な優越感に浸る自分が一番始末に置けないことを棚に上げて、カルロはつりあがりそうになる唇の端を強引に引き下ろした。そうして、背に腹は代えられないと言いたげに、カルロは渋々とブレットに解きかけのパズルを手渡す。
「素直で結構」
「うるせえ」
 カサリと乾いた音を立てたカルロの答えに、ブレットの青灰色の両目が見開かれた。
「カルロ、お前、IQテスト受けろ」
 鼻で笑われるか、小さい子どもを見るような目を向けられるか以外の反応を予想していなかったカルロは、ブレットから投げかけられた言葉に驚く。からかう響きが一切なかったことが、拍車をかけた。
「確かに答えにはたどりついていないが……、書きこんだ単語はほぼ正解だ。消した後がほとんどないのは一発勝負か、母国語じゃないのに、よくここまで。すごいな……」
 ブレットの唇から次々と零れ落ちる手放しの絶賛に、カルロの方が戸惑う。
「ただ残念だな。"solar system(太陽系)"のスペルを間違えている。"sistem"じゃなくて"system"だ。Yならここがちゃんと繋がるだろう?」
 答案を手に、ブレットは誤った個所を指さして顔を寄せてくる。急に近づいた距離に思わずのけぞったカルロを尻目に、ブレットは先ほどまでカルロが解いていた問題集に目を落した。一問目を解いたきり、ちっとも進んでいないそれを前に、ブレットは不意に黙り込む。そして沈黙を保ったまま、ブレットの月面色の双眸がカルロをじっと見つめてきた。
 また説教か、とカルロもつい負けじと見返していれば、ブレットはおもむろに口を開いた。
「俺の父は苦労人でな」
 意外な話題に、カルロはぱちくりと瞼を瞬かせる。
「物心つく前には父親がいなくて、母親、つまり俺のグランマも父が十五の時に亡くなったらしい。父は頼れる身寄りもなくて天涯孤独になった」
「その話、俺は最後まで聞かなきゃなんねぇのか」
 両親の不在、天涯孤独、ブレットが紡ぐワードは彼自身よりカルロとの親和性が高い。わが身の過去を掘り返される不快感に、カルロはとっさに防御の姿勢を取った。けれど、時に非情なほどのゴーイング・マイ・ウェイ精神を発揮する少年は意に介してはくれない。
「そうだ、最後まで聞け」
 まるでどこかの国の女王様のような、高慢な命令が下される。アストロレンジャーズのリーダー面を外したブレットの、強権的な発言はもうカルロを驚かせなかった。
『断る。俺の話を聞かない相手に、譲る気はないんだ』
『聞いてほしいんなら、お前も俺の言うことを聞け』
『何かあれば、俺に言えよ』
 冷酷無比な女王様というより世間知らずなプリンチペッサ(お姫様)から下される命令が、なぜかカルロはさほど嫌いではない。一口に姫君と言っても、カルロがちょっと叩いたりひっかいたりしたくらいでは、泣くことも喚くこともないところがありがたいからかもしれなかった。
「ひとりになった父は仕事をいくつも掛け持った。陽も昇らないうちから新聞を配って、昼間は飲食店の厨房で水仕事、夜になれば工場の下働きに出た。そうしてどうにか食いつないでた」
 これだけの苦労を重ねたブレットの父は、今はどんな人物なのだろうか。ブレットが語る彼の父親と、血を分けたはずの目の前の彼がどうしても一本の線で繋がらずカルロは眉をしかめる。
「働き通しの父だが、学校には通い続けた。勉強を続けろって言うのが、母親の遺言だったからだ。寝る間も惜しんで勉強して、父は奨学金を受けて大学まで進んだ。卒業後に政府機関で職を得たはいいが、コネがないからなかなか出世できなかった。だけど父は努力を諦めなかった」
 世の人が聞けば拍手喝采を贈らずにはいられない、ご立派なブレットの父親は、不遇の時代を乗り越えて人生の転機と巡り合う。彼はひとりの女性と恋に落ちた。職場の嘱託医だった彼女は、のちにブレットをこの世に産み落とす。
「母の祖父が当時の政府の要職にいたんだ。母との結婚で、父の人生は一気に上向いた。とんとん拍子に出世して、今じゃホワイトハウスでそれなりの地位を築いてる」
「ノンノは天文学者なんだろ?」
「そっちじゃない。天文学者の妻の父親だ。母の母方の祖父だから、俺の曽祖父に当たる」
「ややこしいんだよ」
「話の本筋には大して関係ないから気にしなくていい。とにかく、その時をふり返って父が言うんだ。『死ぬ気で勉強していてよかった』と」
 金もない身分もない若者が生涯の恋を赦され、また仕事ぶりを認められたのは、彼がどんな逆境にも負けずに学ぶことを諦めなかったからだとこの教訓話は締めくくられる。
「俺に父の苦労はわからない。父は自分の子どもに同じ苦労は味あわせなかったし、俺も勉強で困ったことなんか無かった。だけどお前には、父の話は他人事じゃないはずだ、カルロ」
 今やこの巨大な国の中枢に身を置くブレットの父親も、ルーツをたどれば寄る辺のない非力な若者に過ぎなかった。彼が現在の地位につけたのは、妻の祖父の後押しのおかげであることは否定できない。それでもブレットの父が、ブレットの曽祖父の眼鏡にかなう人間でなければ何も始まらなかっただろう。「死ぬ気で勉強していてよかった」というブレットの父の言葉は、その答えを示している。
 持たざる者の最後の武器は腕力ではなく、知性である。どうやらブレットが訴えたいらしいことを察して、カルロは鼻白む。
「ちゃんと勉強しろ。お前なら未来を開ける。こんなギャンブルみたいな生活が、いつまでも続けられるとは思ってないだろ」
 「ギャンブルみたいな生活」とは、どうやら賞金を目当てにレースするロッソストラーダの方針そのものを指しているらしい。ブレットが「こんな」と言い捨てる生活を得るために、カルロがどれほどの苦労と犠牲を払ってきたか、幸福な彼は知らないし想像することも出来ないだろう。
 未来が開ける? その前に、未来はどっちに向いてるのか、前か後ろか、上か下か、まずはそいつを教えてほしいものだ。
「大きなお世話だ。努力だのがんばるだの、ダセェまねできるか」
 ブレットの父は確かに立派だ。けれど、だからお前もがんばれだなどと、上目線から垂れられる説教には虫唾が走る。堅実で誠意あふれるサクセスストーリーを信じられるのは平和ボケの証拠だ。払った努力が報われる確率なんて、まさにブレットの愛する天文学的数字を分母に置くほどの奇跡なのだ。
「何がダサい?」
 癇癪を、起こしたって良かった。机を蹴り飛ばして立ち上がり、椅子の倒れる音で図書室の静寂をぶち壊してしまっても。だがブレットがあの「STELLA」の答案を持ち出したせいで、カルロはそのタイミングを逸してしまった。ブレットはカルロのスペルミスを指さして反駁する。
「今だって、"system"のスペルも書けないから追試を課されてるんだろう? 勉強が出来なくてレースに出られない、そっちの方がはるかにダサいぜ」
 ぐうの音も出なかった。少なくともWGP2のレースに関しては、FIMAの要求を満たさないままのカルロではスターティンググリッドにつくこともできない。ブレットの父の出世物語ほど大げさではなくとも、勉学の壁は確実にカルロの前に立ちはだかっていた。
 口角を下げて黙り込んだカルロを前に、ブレットは「STELLA」の紙をテーブルに置き、指を滑らせてカルロの元に押し返す。そして少しだけカルロを覗きこむようにして、口を開いた。先ほどより幾分かやわらかい響きが、カルロの耳に触れる。
「お前、例えばレースの賞金が前のレースの60%になるとオーナーに言われたら、どうやって計算する?」
 前のレースの賞金の半額に10%の金額を足す。10%の金額を出すには、元の賞金額からゼロを一つ減らせばいい。
「70%なら」
 さらに10%を足す。
「カルロ、お前は正しい」
 うっすらと、ブレットが微笑んでいるように見えるのは錯覚か。さきほどまでカルロの胸ぐらにつかみかかりそうな剣幕だったくせに。穏やかな声が、カルロの鼓膜を震わせては消えていった。
「お前は掛け算が足し算だってことを感覚的に解ってる。お前が説明してくれた計算方法は、機械的に6掛け7掛けの計算をしてる奴らより、ずっと数学を理解してる証拠だ」
 言葉は学べるようでいて、生まれついたセンスがなければどうしようもない。「STELLA」の答案は、カルロの語感センスが優れていること、また問題の処理能力が高いことを証明している。数学においてもカルロは優秀だった。今どき正確な計算はコンピューターがやってくれる。日常生活を快適に送るなら、ブレットの質問にカルロが答えてみせたざっくり計算で事足りた。
 カルロは十分に賢い。ブレットはカルロの知性を認めたうえで、あえて言う。
「だが、FIMAに、世間の石頭どもに、お前を認めさせるには追試に合格するしかないんだ」
 翻せば、巨大でとらえどころのない相手を黙らせるために、暴力や罵詈雑言に頼る必要はない。追試に合格さえすれば、敵は勝手に口をつぐみ、カルロに道を明け渡す。なにもカルフォルニア工科大に受かれと言っているわけではないのだから、それは実現可能な未来だった。
「結果を積み重ねれば、周りのお前を見る目も変わる」
 カルロを見る目、とブレットは言う。カルロは密かに首を傾げた。一体この世界で何人が、カルロの姿をその目に映してくれるというのだろう。
 ゴロツキ、チンピラ、悪党の三下。品位も知性もないと、世間は手前勝手にカルロを見下す。カルロが望んでそうなったわけではないのに。救いの手を差し伸べることもなく、通り過ぎる人々は路傍でうずくまるカルロに白い目を向け、やがてそっと視界の外に追いやる。
 何度となく見捨てられ、「存在しないもの」としてこの世の影に掃き寄せられてきた人生だった。掃き溜めから救い出してくれた、ドンの方針に従うことしか知らなかった。
『IQテスト受けろ』
『すごいな……』
『お前は正しい』
 だが目の前の馬鹿みたいに勉強のできる男は、カルロに賞賛の言葉を浴びせかける。お前なら出来ると、期待し、導く手を差し出してくる。
 なんでだ。なんでそこまでする。お前の人生に、俺がどれほどの価値を持つって言うんだ。
 声に出せないカルロの問いに、ブレットが答えないのは当然だった。代わりに、彼は別の言葉をつきつけてくる。
「約束する」
 正しい知識があれば、この生きづらい世界ですら変わって見えるのだとブレットは主張する。そして彼はカルロを見ていた。決して目をそらさず、青灰色の瞳いっぱいにカルロを映している。それはカルロがかつて一度も与えられたことのないほど、美しく、真摯な眼差しだった。
「俺の父を信じろ」
 信じる義理なんかない、そう噛みつきかえすのが真っ当な反応だ。品位も知性もないゴロツキには、それが似合いのはずだった。
 けれど。
 だけど。
 ここで踏みとどまらなければ、ようやく自分に向けられたこの瞳の中からも追い出されてしまいそうで、それは嫌だなとカルロは思ったのだ。



 「受かった」
 開口一番に伝える声は、ひどくぶっきらぼうなものになった。
『おめでとう、カルロ』
 相変わらず鼓膜の奥に染み込むような響きが、電波のバイアスに濁って届く。二年前、図書室で追試の紙を睨んでいたカルロは今、受話器を耳に当てたまま、イタリア空軍の士官学校への入学許可証を小さな笑みでもって見下ろしていた。
 三回目のWGPを終えミニ四駆レースから引退したカルロは、次の進路をイタリア空軍に定めた。士官学校の受験に備え、カルロは一年かけて勉強漬けの日々を送る。文字通り、死に物狂いで勉強した一年間だった。机に自分を縛り付けて、という言葉は比喩ではない。
 少なくともWGP2で成績不振者に追試が課されるようになるまで、カルロはろくな教育を受けてこなかったし、また自ら勉学に励む気も起こさなかった。そんなカルロが一念発起したとはいえ、合格を目標とするにはとにかく時間が足りなさ過ぎた。追われるようにテキストをめくり、ひたすら問題を解いて数をこなす。何度説明されても理解できない問題にぶち当たると、癇癪を起して頭をかきむしった。けれど、握ったペンだけは決して離さなかった。
 初恋の熱に浮かされて、という使い古された表現がある。一年におよぶ奮闘ぶりは、その初恋の熱に浮かされた特殊なパターンではなかっただろうか。そうでなければ説明がつかないほどの、我武者羅なエネルギーに突き動かされていた一年だった。
 その恋の元凶が、電話口で笑う。
「なんだよ」
『俺を信じてよかったろう?』
 自画自賛に満ちた言葉に、カルロも笑う。
「信じろっつったのは、お前じゃなくてオヤジさんのことじゃねえか」
『父の話をお前にしたのは俺』
 褒めたたえろと言わんばかりの横柄な態度だが、相手が自分だけのプリンチペッサだと思えば腹も立たない。宇宙が好き過ぎて月色の瞳を持って生まれたプリンチペッサは、さしずめ日本の昔話にでてくる「カグヤ姫」といったところだ。
「へえへえ、アリガトウゴザイマシタ。カグヤ姫には勉強も教わったしな」
『そこを忘れてくれるなよ……、って、カグヤ姫って日本のアレか?』
「あの話好きだろ、お前」
『うん、ああ、まあ、好きだが……』
 さすがお育ちのいいプリンチペッサは正直者だ。頭が良くて勉強家で、教えたがりの恋人は、大西洋で隔てられて以後も、教えたがり精神をフル稼働させてカルロの一年間を支えてくれていた。士官学校の過去十年分の入学試験から傾向と対策を練り、予想問題集まで作成してくれた手間暇には当分頭が上がらないだろう。
 死ぬ気で勉強してよかった。
 ブレットの父の言葉は、本物だった。士官学校の入学が叶えば、向こう二年の衣食住と教育は軍によって保障される。カルロにとってはようやく、地に足がついた生活が赦されるのだ。
「秋にはトリエステに移る」
 士官学校の寮に入るためだ。ミラノのゴロツキからも卒業だと言い添えれば、住所と電話番号、それからメールアドレスが決まったらすぐに連絡するように念押しして約束させられた。かつてカルロが、離れている間のブレットに一年近く連絡先をよこさなかったことを、賢すぎる彼はしっかりと覚えている。WGPでも一度負けた相手にはきっちりとリベンジを果たしていたことを考えれば、カルロのカグヤ姫はなかなか執念深い性格をしていると言えた。
『遊びに行っていいか』
「そんな暇ねえだろ、てめえには」
『なんとかするさ、お前の門出を祝わせろよ』
 執念深くて愛情深いカグヤ姫は、カルロの未来に明るい色を願っていた。彼の瞳の中にまだ、カルロの姿がある。そう信じさせてくれる声音だ。
『住みやすいといいな』
「寝て起きて飯がくえりゃ文句は言わねえよ」
 こんなやりとりにさえ新しい生活が始まるのだと実感させられ、弥が上にもカルロの気分は高揚した。何かが始まる期待感に胸を膨らませるなんて、きっとこれが生まれて初めてだ。
 すべてがうまく行くなんて、都合のいい皮算用はしない。未知のものへの警戒心は人一倍だ。それでもこれから自分が踏み出す足場は、今までとは比べ物にならないほど固くてしっかりとしているのだ。足の裏から全身に跳ね返る安定感は、カルロの顔を上げさせ、より遠くを見ることを赦してくれることだろう。

 これからだ。
 まだ、始まったばかりだ。

 そう自戒をこめてみるけれど、電話の向こうで繋がっている顔の見えない気配がカルロの頬を緩ませる。
『よくがんばったな、カルロ』
 本当に、お前は大した奴だよ。そう、続く声に不覚にも涙腺が緩みそうになる。和やかで、優しくて、喜びに満ちた声の響きを、カルロは受話器を耳に押し付けて堪能した。

 


 リアリストの狂信
 (報われる努力の味を、俺は知った)






++++++++
クロスワードパズルネタを使いたかっただけなのに……
12歳と13歳らしくオベンキョウしてるカルブレなんてかわいくてなぁ//////

リアリストでペシミストなカルロに、夢と希望をプレゼントするブレット。まるでアンパンマンか魔法使いサリーちゃんである。

カルロの地頭は間違いなく良いと思うのよね。
でも座って勉強なんて無理だろう。そんな彼が受験勉強する動機づけがほしかった。
自分の道を探す前に、ブレットと同じ土俵に立ちたいうちのカルロさんなのでした。

それにしてもうちのブレットはウザい奴だなぁw
でもね、もしかしたら、カルロにはこんな風に正面切って説教してくれる人はいなかったのかなって思うんです。一度不良のレッテル貼られたあとは更生の余地なんてないってあしらわれてたのかもしれない。
(ミニ四駆について正面きってやりあった豪の時と比べて、カルロが随分と大人しいのはブレットの実力?賢さ?を認めてるからです)
何だかんだ言って、まだ十代前半ですし? 性格の矯正や更生の可能性は大いにありえますとも。

ここで出てくる算数の問題は、昔なにか新聞のコラムだかで読んだやつ。
筆者は清水先生だったかな。私のオリジナルではないのであしからず。私に数学的センスなどありゃしませんぜ。

ブレットのパパさんの経歴を盛大にねつ造です(いつものこと)。
カルロはブレットのパパさんを密かに尊敬するようになって、それゆえに愛息子を手籠め(w)にした罪悪感抱えてるよいいよ。
ブレットの身内について妄想はいっぱいあるけど、それはまた今度。あまりオリキャラ、俺設定出張らせるのもどうかと思ってますのよ。
(ブレットの祖父を天文学者にしておいて、いまさら何を言うのか)

2015/04/08 サイト初出。

2015/04/08(水) レツゴ:チョコレートナイフ(カルブレ)
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